2021.12.07
地域おこし協力隊 河野瑞紀さん
偶然見つけた、空き家カウンセラーという仕事
2019年の春、日南市が公募したのは「地域おこし協力隊」として空き家に関する総合相談窓口になってもらえる人材。具体的には、空き家を所有する大家さんと家を借りたい(買いたい)移住者の橋渡し役。双方が良好な関係を築けるように働きかけ、1軒でも多くの空き家を減らすのが使命の、”空き家カウンセラー”です。
この求人にすぐさま手を挙げたのが、今回紹介する河野瑞紀さん(29歳)。「人の暮らしや住まいに関わる仕事って、おもしろそう!」シェアハウスでの生活をきっかけに、そう考えていた矢先、まるでタイミングを見計らったかのように目にしたのが当サイトの「空き家カウンセラー募集」の記事でした。
持ち前の思い切りの良さを発揮!念願叶って、日南市に移住
“チャンスかもしれないーー!”
求人記事を見つけた当時、宮崎市内の美容室で受付・事務スタッフとして働いていた河野さんですが、自分の直感を信じて応募。「仮に不採用だったとしても動き出すきっかけになればと思い、勢いに任せました!」と笑って振り返ります。
無事に採用が決まってからは、仕事をしながら移住するための準備で怒涛の毎日。知り合いがほぼいない場所への移住に不安はあったものの「新しい人でも置いてけぼりにしない」コンパクトシティならではの周囲の手厚いサポートを受けながら馴染んでいったそう。着任して1年半が経過した今、空き家カウンセラーを必要としている人たちにとって頼れる存在になれている手応えを少しずつ感じています。ちなみに休日は友人と沖釣りを楽しんだりと、もうすっかり日南市民です。
「貸して良かった!」「借りて良かった!」双方を”両思い”にするキューピッド
少子高齢化や地方の人口減少といった理由から年々増加している「空き家」は、日本全体が抱えている社会問題で、もちろん日南市も例外ではありません。市が調査して把握しているだけでも1,000軒近くあるのだとか。
空き家カウンセラーとして多様な業務がある中で、メインと言ってもいいのが大家さんと移住者のマッチングです。大家さんには、どのような条件で貸し出し・売却したいのかを聞き、移住者側にも希望物件について事細かく聞き出します。住居そのものや周辺の情報まで、メリットはもちろんデメリットも包み隠さず伝えていくそう。「丁寧なヒアリングと情報提示。この2つをしっかり行うことで、後々のトラブルが回避できます。日南を移住先に選んでもらったからには、後悔して欲しくないですもんね」。
やりがいは何と言っても、良いマッチングができたとき。「河野さんに任せて、良い人に入ってもらえた」という大家さんからの言葉。そして、そのウワサを聞きつけた別の大家さんから新たな相談を受けたとき。まさに人と人、人と家との良縁を繋ぐキューピッドです。
いつでも”自分ごと”として、同じフィールドにいたい
河野さんが日南市に移住する際に利用したのが「宮崎日南移住ナビ」という、移住定住を支援するサイトです。地域おこし協力隊への着任後に運営・管理していくサイトを、まずは自分が利用して一連の流れを体験することで、移住希望者の気持ちに一層より添えると思ったからだそう。
サイトを通じて家を見つけ、庭付きの一軒家に住んでいる河野さんですが「除草シートを敷いても草は生えてくるし、枝葉の剪定は大変だし、一軒家への憧れはあったものの実際には大変なことも多いんです。でも、マンションやアパート暮らしにはない、ご近所さんとの交流は楽しくて。今はいただいたトマトの苗を育てています(笑)。私も移住者なので、移住を考えている人には、感じたことを率直にお伝えするようにしています」。
できる限り当事者と一緒のフィールドに立ちたい。この姿勢は、前職で5年半勤めた美容室でも同じでした。受付のスタッフとして働きながら、メイクアップの資格を取得し、受付とはまた違う立ち位置でお客様に接する技術スタッフの苦労ややりがいを実感したそうです。
どんな場面においても”自分ごと”として物事を捉えようとするからこそ、周りからの厚い信頼が得られているのかもしれません。
空き家が持つ可能性を追求! 目標は、誰もが気軽に集える場所づくり
河野さんの地域おこし協力隊の任期は3年で、残り半分を切りました。
これからの展望について「空き家を利用して、学生も大人も関係なく多世代の人がフラッと訪れて交流できる場所がつくりたいです。特に学生は地域の大人と関わる機会が増える分、働き方を考える際の選択肢が増えると思ってて。そんな場所が私の学生時代にも欲しかった、という思いもあるからです。そして、私が勢いで日南に来ちゃったように、ちょっと行ってみたい!という人が気軽に来れるような短期宿泊施設があっても良いなぁと。空き家が空き家のままであることが一番の問題なので、私自身がやっていきたいことともすり合わせをしながら、うまく活用できる術を見出していきたいです」。
河野さんの、空き家が持つ可能性の追求は、これからも続いていきます。
●河野さんが運営・管理する「宮崎日南移住ナビ」のサイトはこちら