2024.3.05
Bar&Snack circle 守田遥さん
生まれは福岡。エンジニアやオーストラリアでのワーホリを経て、1年前に日南市の地域おこし協力隊としてやってきた守田遥さん(以下、ハルさん)。なんと任期終了の翌月に、油津の飲み屋街の一角にスナック「circle」をオープンしたそう!
そんな開店ほやほやのお店をたずねてみると、店内におさまりきらないほどのお花があふれていました。
日南人が優しすぎ、甘えすぎる自分から卒業したかった
ースナック開業おめでとうございます!
ありがとうございます!最後の最後まで、地元の方たちに助けてもらってオープンすることができました。
ーそもそも、なぜスナック?!
協力隊の任期は1年。それとともに無職になるのですが、まず日南に残らない選択肢は私の中にありませんでした。私はほぼ毎晩飲み歩いていたんですが、「ここで出会ったご縁を終わらせたくない」と、後ろ髪をひかれる思いで残ることを決意しました。
ありがたいことに協力隊で出会ったご縁で2社ほど「退任後は、うちで正社員として働かないか」と声をかけてくださったんです。でも、私はポンコツなんで(笑)、何をしてもたいてい失敗して、誰かのお世話になるたちで。でも、日南の人はいつも優しく、見返りを求めず助けてくれて。すごく嬉しい反面、このままだとみんなに甘えすぎてしまう自分が目に見えてしまい、そんな自分を変えたかったんですよね。だから、「自分の責任は自分でとろう」と腹をくくり、うっかりスナックで独立することを決めました。といっても、開店までにたくさんの人に甘えてしまったんですけどね(笑)
(相棒「さーくるん」は、同級生の友人がつくってくれたそう)
スナックで出会えば「乾杯」で友だちになれる
ースナックのどんなところに惚れたのですか?
もうね、楽しい!とにかく楽しい。
初対面の人でも、同じお店で乾杯したら一瞬で友だちになれるんですよね。お店ごとに客層も違うので、それぞれ出会える人もバラエティ豊かでした。
私は協力隊の任期中に、ワーケーション企画や日南の特産品を紹介するライブコマース、人材活用事業のACにちなん事業協同組合の立ち上げ、レストランバスの企画などに携わらせていただきました。そこでは、とにかく日南市の企業様とつながり、プロジェクトを進めていかなければなりません。そこで役に立ったのがスナックです。昼間にスーツを着て話し合うより、スナックでお酒を飲み交わしながらざっくばらんにお話しするほうが、トントン拍子で話がまとまるんですよね。後日、昼間に会議室で出会うと、よそよそしくなってしまうのですが(笑)
私の仕事に必要な人脈は、すべてスナックで賄っていたと言っても過言じゃないですね。
先輩ママたちが手とり足とり教えてくれた
ー移住者が新しくスナックをオープンするとなると、かなりハードルが高そうですが…大変なことも多かったのでは?
ある日「スナックやりたいな」と、先輩ママさんの前でつぶやいてみたら、すごく喜んで応援してくれました。本当に何もわからなかったので、親身になって開業に必要な手続きや保健所の許可などをゼロから教えてくれて。また、お店の運営面でも価格設定や仕入れ、お酒の在庫の持ち方など、手取り足取り教えてくれました。
特に接客面ではグラスを持つ時はふちを持たない、物を扱うときは両手で綺麗に見えるようにするなど、ママならではのたしなみを多く学びましたね。
また、私が先輩ママさんのスナックに毎晩のように通っていたら、プライベートでも仲良くしてくれて。私が流行病で家から出られなかった時も、スーパーのビニール袋いっぱいに食材を買って届けてくれたり、私の誕生日に一緒にゴルフコースを回ってくれたり。このテナントはスナックで仲良くなった友人に見つけてもらい、その下見も先輩ママさんが一緒に来てくれました。
(いただいた開店御祝も、先輩ママが貼ってくれたそう)
日南の酒蔵9社すべてを飲み比べ
ーcircleの売りポイントはどこですか?
日南にある9つの酒造すべての焼酎が飲めるスナックは、あまりないと聞いてます。
9社そろえたのは単純に、移住当初「9つの蔵すべて飲み比べてみたいな」と思っても叶うお店がほぼなかったので用意してみました。それこそ、協力隊時代にレストランバスで日南の酒蔵巡りツアーをきっかけに焼酎愛がさらに深まって。「この焼酎、自分のお店で扱いたい!」と、妄想がふくらみました。
若い子や女性、県外の方にも焼酎を楽しんでもらいたいので、一般的なの焼酎だけでなく、デーツで仕込んだ蒸留酒のような焼酎やアールグレイの香りが楽しめる紅茶風味の焼酎、ソーダ割に合うよう作られたフルーティーな焼酎なども用意しました。また、意外と喜ばれているのはノンアルのカクテルです。お酒の色んな楽しみ方を提案できたら嬉しいですね。
(酒屋さんで取り扱いのないレアものも、ハルさんご自身で取り寄せるほどの熱の入れよう)
「ママ」より「ハルちゃん」と呼ばれるママになりたい
ーハルさんはどんなママを目指していますか?
それで言うと「ママ」と呼ばれないママを目指しています。みんなに「ハルちゃん」って呼んでほしいし、ママというより「友だち」な感覚でお話ししたいですね。
ーハルさんらしい!では、どんなお店にして行きたいですか?
店名の「Circle=輪」は、私がスナックつながりで日南が大好きになったように、色んな人がつながって、日南愛あふれる人が増えてほしいという願いを込めて名付けました。(元をたどると、木村カエラちゃんのファンで、2ndアルバムのタイトルから拝借したんですけどね!)
ちなみに、ロゴもスナックで出会った方にお願いして、多種多様な人がありのままの自分で楽しく過ごせるお店になればという思いから、レインボーカラーを基調につくっていただきました。
本当に本当に、地元の方々に助けられてこの日を迎えることができました。開店前日は飲み友達、観光協会の方、スナックの先輩ママさんみんなが手伝ってくれました。結局まだまだポンコツな私ですが、このお店とともに成長していきたいので、あたたかく見守ってくれると嬉しいです。
いつも自然体で、かざらないハルさん。そして、「日南大好き!」と声を大にして愛を伝え続けるからこそ、地元の人たちに愛されているのだと感じました。
県外の方でも、一人のみでも、一見様でも楽しめるスナック。間違いなく多くのファンを集めそうですね。
Bar&Snack circle
日南市岩崎3-7-7
https://www.instagram.com/circle.haru/
(取材・撮影/渡邉茜)