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日南で働く人々

2019.5.22

時代の変化に、自分自身も変化させる

株式会社南郷包装 代表取締役社長 川野純一さん

株式会社南郷包装は、発泡スチロールの製造販売、日南海岸にある「デモンデマルシェ」、道の駅No.1に輝いた「道の駅」なんごうの指定管理者として運営しています。


 


すべては破産企業の再建から始まった


さかのぼること2001年。当時39歳だった川野さんの勤務先は、大阪に本社をもつ発泡スチロール容器などを製造販売する会社。そこの九州事業所長として、取引先である漁協などを担当していました。しかしその夏、大阪に呼び出され伝えられたのは破産の知らせ。破産、つまりそれは従業員の解雇だけでなく、取引先の倒産をも招く最悪の事態でした。従業員に倒産・解雇を伝えるべく、そのまま新幹線で福岡に渡り、熊本、そして日南の南郷工場を周り、その度に従業員たちが涙する姿を目の当たりにしました。また、プライベートの連絡ができないほど、お客様からの電話も鳴り止みませんでした。


しかし、南郷工場だけを見ると、財務状況は健全であり、資産価値が高い。また、営業職時代に開発したエアポンプ付きの輸送用活魚箱の品質の高さは人気があり、どうにかして製造を続ける必要がありました。



チャンスはいつ来るかわからない


「このまま破産で終わらせてはならない。」居ても立ってもいられず、管財人弁護士と裁判所で何度も協議し、債務圧縮や南郷工場の再建実現を働きかけました。それと同時に、取引先の企業に支援を求め、燃料や原料などを回してもらい、結果的に南郷工場を止める日は1日もありませんでした。様々な足かせがありながらも、破産から4ヶ月後、有限会社南郷包装として独立。支援企業の社長が代表取締役となり、川野さんは専務として現場を回しました。そして2008年に川野さんが株式をすべて買い取り、晴れて代表取締役に就き、現在にいたります。


今になって振り返ると「これがいわゆる火事場の馬鹿力なんだろうな」と、川野さん。また、この一連のドラマは一見ピンチのようで、裏を返せば自分が社長になるチャンスでもあったのです。「チャンスはいつ来るかわからない、そのチャンスが来た時にいかに自分を変化させて挑戦できるかが大切なのでは」と話されていました。


 


デモンデマルシェ開業、道の駅なんごうの運営。


発泡スチロール容器・包装材の国内市場は、25年前のピークを境に年々斜陽化。「その中で、会社として発展して行くためには、今ある事業だけに寄りかかっていてはいけない。」そう思う中で、取引先の漁協から仕入れた鮮魚をレストランで使い始めたのが「デモンデマルシェ」。2011年に日南海岸にオープンし、寿司や刺身が売りのランチバイキングが人気を集めています。そして2016年、「マルシェのノウハウを生かしてほしい」という要望にこたえ、「道の駅」なんごうの指定管理者になりました。2500万円の設備投資を行い、レストランや売店を一掃。また、南郷町ならぬ「マンゴー町」と文字り、PR動画には崎田市長も出演し、それが話題となり全国TVにも取り上げられました。生まれ変わった道の駅なんごうは2017年、旅行クチコミサイト「トリップアドバイザー」の「旅好きが選ぶ!道の駅ランキング2017」で、みごと1位に選ばれました。


 


マンゴー味噌、宮崎スティック。次は飫肥杉の枕を。



実は川野さん、会社経営の裏側で、様々な商品開発に挑戦されています。今までには、地元産のマンゴーを使った「マンゴー味噌」や「宮崎スティック」という名の地鶏の炭火焼を商品化させてきました。「いつも何かできないかな~とそんなことばかり考えている」と話される川野さん。また、新しい商品がひらめき、昨日出来上がったという赤ちゃん用の枕を見せてくださいました。この枕の中身に使われているのは飫肥杉のカンナくず。ちょうど今年に入り、娘さんが生まれたこともあり、アイディアが降って来たそうです。


 



「まずは挑戦できるものを見つけることからがスタート。チャレンジしてみないとには、これが成功するか失敗するかなんて誰にもわからない。18年前に起業したとき、自分が梱包材以外のことに挑戦しているなんて想像できなかった。今、こうして色んなことに挑戦できる環境にいることが幸せです」と、感慨深そうに話されていました。


 


お金で叶えられる以外の、幸せを感じる基準をもつ


これからを生きる若者に向けて伝えたいことを聞いてみると、「お金で叶えられる以外の、幸せを感じる基準をもつことが大切」と川野さん。「昔は、寝ずに働けばいくらでもお金は稼げましたが、今は働き方改革にもあるように、残業や休日の取り締まりが厳しくなり、頑張れば頑張るだけ稼げる時代ではなくなくなりました。だからこそ、お金以外で幸せを叶えられる基準を持てたらいいのかなと思います。例えば、みんなに喜ばれることをして、それを自分の喜びにしたり、自分の居心地のいい居場所をつくったり。」そんな思いは、利益を求めず、夢に投資したデモンデマルシェや道の駅なんごうに現れているのかもしれません。


 


川野さんのお話を通して感じたことは「時代に合わせ、自分の価値観を変化させる」ということ。自分が変化することを恐れず、新しいチャンスに挑戦し続ける姿は、これからも日南を元気にさせてくれそうです。


(2019/3/23取材)

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