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日南で働く人々

2024.3.01

グラドルから焼酎娘へ。地酒で広がるHAPPYの輪

Local Local株式会社 焼酎のチューさん

酒造会館の新入社員「チューさん」


日南市は飫肥。酒造会館に足を踏み入れると、「はじめまして!」と、とびきりの笑顔で出迎えてくれた彼女。その頭には、ネズミの被り物。どうやら彼女は本名を捨てて「焼酎のチューさん」として今日から生きていくらしいのです。彼女のペースに飲まれるまま取材が始まりました。


 


日南育ち。18歳で財布一つで上京。


チューさんは宮崎市に生まれ、日南高校を卒業後すぐに上京。「財布ひとつ、住む場所も決めずに東京に行きました!」とチューさん。彼女の上京目的はただ一つ、ロリータファッションの買い物をすること。下妻物語の深キョンが大好きで、宮崎にいるころから独学で服を制作していたそうです。上京してまもなく手持ちのお金のほとんどは洋服代に消え、人生初のバイトを始めます。「スーパーのお惣菜屋さんで働こうと思って電話をすると、私の宮崎なまりを聞いた担当さんが『お金に困ってるの?今から来なさい』と親身になってくれて。その方は、鹿児島出身だったんですよね。」九州の縁に導かれるまま翌日から出勤。コロッケ揚げたり、お寿司をつめたり、すべてが新鮮な毎日でした。


 


革職人の休日は「グラドル」としての顔



20歳になる頃、持ち前の手芸の腕と手先の器用さを買われ、ハイブランド品のお直しをする革職人として正社員になります。スキルはめきめき磨かれ、気づけば勤続8年のベテランに。そんなチューさんの仕事の息抜きは「ヒトカラ」。休みの日は毎週のようにカラオケボックスに通いました。その頃、いわゆる「地下アイドル」が生まれ始め、チューさんも「タダでライブハウスで歌える」という噂を聞きつけ、ヒトカラ感覚でライブハウスで歌い始めます。ただ単純に歌を歌うことが好きだった彼女でしたが、たまたま居合わせた超人気アイドルのプロデューサーの目に留まり芸能界入りをはたします。天真爛漫なキャラの彼女は、特技の果物を丸ごと食べる芸でゴールデンタイムに出演したことも。興味の赴くままに挑戦する彼女が、次に選んだのはグラドル。「昔から尊敬するグラドルさんと友達になれるならやってもいいと社長に伝えると、本当に企画が実現して。そのグラドルさんプロデュースでプレイボーイデビューしちゃいました(笑)」


そんな生活を4年ほど続けましたが、自分が被写体になることに疑問を持ち始め引退。「実は夢ができて。40歳で自分の店を持ちたいんです。」そう話す彼女は、クラブや高級車の受付嬢、エステティシャンなどをいくつもかけもちしながら資金を貯めていきました。そんな充実した彼女の暮らしを一変させたのが「コロナ禍」。「3月からクラブは営業停止を余儀なくされ、仕事がほぼゼロに。3カ月程、食料品を買いに行く以外、家から出られませんでした。」


 


避難先の地元で見つけた天職



そんな彼女が避難先として選んだのは、家族の住む地元日南。帰ってきてからも1ヶ月は家から出られなかったそうです。「ずっと何もしないでいると、自然と”働きたい”と思うようになったんですよね。そこでネットで見つけたのが日南しごと図鑑の焼酎会館スタッフの募集。


「YouTube配信って言葉が目に飛び込んできて。グラドルの時にニコ生配信で2時間しゃべり続けたこともあったので、今までのスキルも活かせそうかなって。」



 


焼酎でつながるHAPPYの輪


面接のときに新商品の提案をしたところ、みごと採用。現在は週5日で「酒造会館からHAPPYを広げる」をミッションに様々な企画をしています。


「まず、酒造会館の存在を知ってもらうことがスタート地点だなって。だから、開店時、閉店時に動画配信を始めました。」そのSNSに配信される動画の評判は上々で、「毎朝毎晩見るのが楽しみ」という声が聞こえてくるほどに。



また、取材中にお客様が訪れた際には、「どんな焼酎をいつも飲まれていますか?」と、次々に質問しながら初対面とは思えない人懐っこさでおしゃべりを楽しんでいました。「私、お酒は好きだけど、焼酎に詳しくないんですよね。だから、焼酎好きのお客様に教えてもらいながら勉強しています。お酒を飲みながらお客様と1対1で話す。これは場所が違えど、クラブで働いていた頃となんら感覚は変わりません。」



社長の仲間さんは「まさかネズミの被り物するとは思ってもいなくて(笑)でも、ネズミがお客様との会話のフックになり、人見知りな方もすぐに打ち解けていくんですよ。彼女のアイディアは斬新ですが、すべて的確なんですよね。もう、彼女の提案にはすべて「いいっすね」の二つ返事でGOサイン出してます(笑)」


バックヤードには2人で話し合ったアイディアメモがたくさんあり、チューさんの腕にかかればすべて実現しそうな期待が高まりました。



頭に閃いた「やりたい」という気持ちに身を任せ、次々に新しい世界を切り開いていくチューさん。酒造会館ではそんな彼女に巻き込まれて、今までにない変化が起き始めています。今後のチューさん、そして彼女の人生を応援せずにはいられません。


 


日南酒造会館Facebook(動画はここから)
https://www.facebook.com/nichinansyoutyu


 


(2020年8月19日取材 渡邉茜)







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